小説

『真夜中の構図』

真夜中の構図価格:660円(税込、送料別)西村京太郎氏好きな方からいただいたことがきっかけで、この本を読むことに。 情景が思い浮かべやすく書かれている。 私も西村氏作品にハマりそうな予感。 物語は、製薬会社社長が政界へと進出するにあたり、女関係…

『逃亡くそたわけ』

逃亡くそたわけ価格:420円(税込、送料別)自殺未遂をしたことがきっかけで精神病院へ送り込まれた「あたし」は、“ひどい閉鎖的空間”からの脱走を決意する。 「なごやん」という名古屋出身の若い男を誘い、2人で“塀の外”へ出ていくことに。 こうして2人の…

『1ポンドの悲しみ』

【2冊同時購入ポイント3倍】1ポンドの悲しみ価格:480円(税込、送料別)石田衣良氏の得意とする恋愛短編集。 表題作もいいけれど、この中で私が好きなのは「デートは本屋で」という話。 ―織本千晶は本と男が好きだった。 そんな出だしで始まり、共感する私…

『愛がいない部屋』

愛がいない部屋価格:450円(税込、送料別)都内の高層マンションに住む女性たちの、苦しくて切ないショートラブストーリーたちが収録されている。 友人から紹介されただけで、ほとんど知らない男性とルームシェアを始めた梨花は、すこし風変わりな状況だけ…

『カリスマ 下』

カリスマ(下)価格:800円(税込、送料別)宗教団体「神の郷」の教祖・神郷は、宗教に狂って亡くなった母・佐代子に瓜二つな女性と出会う。 女性の名は、城山麗子。 嫉妬深く、虚勢を張ることしか能がない、見た目も中身も女の腐ったような、しがないサラリ…

『THE MANZAI 3』

The manzai(3)価格:567円(税込、送料別)第3巻では、いくつかの恋が生まれゆく。 誰しもが味わったことがあるだろう、胸がきりきりしたり、きゅんとしたり、急にくるしい気持ちになったり、初めて切なさや寂しさを覚えたり…。 そういう自然な感情という…

『THE MANZAI 2』

The manzai(2)価格:567円(税込、送料別)第2巻では「事件」が多々起こる。 たとえば、主人公・歩が密かに心を寄せているメグの靴箱に「ゲロゲロ(メグが蛙をそう名付けた。強い子だなぁ)」が入れられていた事件。 これは、メグに振られたことを根に持…

『カリスマ 上』

カリスマ(上)価格:760円(税込、送料別)母親が新興宗教を狂うほど信仰した結果、悲惨な家族の失い方をした少年・平八郎。 彼は両親を殺した「教祖」を憎み、その存在を超えることで恨みを晴らすため、自らが教祖・神郷となる。 「神の郷」という怪しいネ…

『THE MANZAI 1』

主人公・瀬田歩は、クラスの人気者・秋本から「お付き合い」を申し込まれた。 (注・どちらも年頃の男の子である) しばらくした後で、以下の事実が判明した。 「こいつの趣味は…もしや」と後ずさってしまう歩だったが、秋本の表現が“誤解を生んでしまうもの…

『枕女優』

頂点へ登り詰めるためなら何でもやる。 どんなに脂ぎったオッサンであろうと、策略的に身体を提供して、役を勝ち取る。 それが主人公の生き方。 強い、という単純な言葉では言い表せない。 枕をする最中は、感情を殺し、人形のようになるのだ。 汚れていくの…

『殺し合う家族』

作品の冒頭は、裁判の場面で幕を開ける。 常軌を逸した閉鎖的・独裁的な世界で生きることを余儀なくされた主人公が、被告人質問を受け、淡々と答えていく。 「狂気」にふれることを持続するうちに、人は破壊されていく。 主人公がその例だった。 理不尽で意…

『鬼子 下』

売れない恋愛小説家・袴田は、大金を払い、息子を“まぐろ漁船”で処分してもらう手筈を整えた。 そして、最終的にそれは行われた。 改心したように見えた、そして昔のままに見えた息子は、袴田の目の前で、男たちに一瞬にして連れて行かれた。 遥か遠く、二度…

『鬼子 上』

祖母の死後、鬼のように変貌を遂げてしまった息子を持つ、売れない恋愛小説家の話。 重版となる本を出せない、1日1冊すら売れない作家が、どれほど厳しい境遇なのかがよく分かる内容。 主人公の小説家・袴田は、半年ほど前から息子に暴力を振るわれ、買い出…

『日本一不運な男』

婚約者への誕生日プレゼントを買った帰り道、拉致され、ある人物の暗殺をするよう言い渡される男の話。 かなり不幸な男である。 見た目も経歴も冴えない男だったが、何故か急に降ってわいた結婚の話。 しかもその相手は飛びきり可愛い子ときている。 素直で…

『不倫純愛』

ダブル不倫の話。 新進気鋭のイケメン作家の担当をしている編集者が、作家の秘書兼彼女と不倫関係に陥る。 秘書は若くてセックスに積極的な女性だった。 彼は最初は肉体だけ彼女に溺れていたが、徐々に心までも奪われ始める… 妻はあるとき夫の異変に気付く。…

『君が悪い』

いつでも、どんなことでも相手のせいにするおかしな男の物語。 男(竹林というの職業は中学校教諭という点で、外では聖人君子を気取らねばならなかったり、一番荒れている時期の子どもを相手にしなければならなかったり…と、疲れることは多々ある。 溜まった…

『背広の下の衝動』

4つの中編小説から成り立っている作品。 タイトルにあるように、どの話もサラリーマンが主役。 しかも残念なことに、しがない、冴えないサラリーマン。 家族を持つ中年男性は、邪剣に扱われやすい。 ウザいだの、邪魔だの、洗濯物を一緒にしたくないだの…可…

『女王蘭』

一般的に「夜の蝶」と聞いて皆が連想するのは、美しく妖しい、そして多様な意味で危険な世界だろうか。 今は景気が悪くなり、地方はもちろん、歌舞伎町や六本木、銀座というトップの街ですら、閑古鳥の鳴く店が増え続けているけれど、その中でも売上を上げ続…

『女優仕掛人』

大手芸能プロダクションから、超弱小プロへ――。 辣腕チーフマネージャーとして、一から小百合を売れっ子女優として育て上げた上杉は、社長との考えの食い違いから、解雇を言い渡される。 「1度死んだ気持ち」で、新たな世界へ飛び込んだのだった。 そこで、…

『毒蟲VS.溝鼠』

別れさせ屋VS復讐代行屋の、因縁の対決ストーリー。 前者が毒蟲、後者が溝鼠と呼ばれて恐れられているのは、彼らのやることなすことが血も涙もない、とにかく人間とは思えないほど残酷なことを行うからである。 生きながらにして、ターゲットへ地獄を味わわ…

『無間地獄 下』

http://d.hatena.ne.jp/ilangilang/20100405/1270479494 ↑上巻のレビューはこちら 闇金王・桐生は、社長の借金2300万円を背負わされた玉城を捕まえることに成功する。 しかし、彼がすこし目を離した隙に、衝撃的な出来事が起こってしまう。 桐生の部下で、彼…

『無間地獄 上』

新堂冬樹氏お得意の闇金をテーマとした作品。 『底なし沼』よりもハードで気分が悪くなるのも、無理はないと言える。 というのは、本書は闇金の世界で生きる男を表面的に描いたものではないから。 主要登場人物の1人、桐生という富樫組(やくざ)若頭は、死…

『吐きたいほど愛してる。』

新堂冬樹氏作品を、取り憑かれたように読み漁っている今日この頃。 本書はタイトルに「愛」があるように、恋愛モノかと思いきや、表紙のグロテスクさから予想されるように、毒々しい恋愛混じりのホラー的作品である。 4つの短編から成っていて、1話目に出て…

『忘れ雪』

本書は、アングラ経済小説の名手・新堂冬樹氏が書く“超純愛小説”。 そういう意味で、とても話題になったんじゃないかと思う。 悲しい物語は、孤独な少女と優しい男子高校生との出会いから始まる。 少女は5歳年上の高校生へ恋心を抱くが、2人は少女の事情のた…

『三億を護れ』

「うだつの上がらな過ぎる」サラリーマンが、宝くじで三億円を当てることから話は始まる。 人間、恐ろしくなるほどの金を得ると、どう変わるのか。 自分だけではない。 周囲から“変化”は起こり、それは気味が悪いほど明らかなものなのである。 ハイエナと表…

『底なし沼』

闇金の帝王・蔵王金光は、単なる闇金業者社長ではない。 なんと、完済した借金の「二重取り」が彼のシノギであった。 そんな無茶苦茶なことができるのは不思議な話としか言い様がないが、実はからくりがある。 借金を返した後、金銭貸借書の原本を業者から受…

『1Q84 Book 2』

『1Q84 Book 1』を読み終わってすぐこちらへ手を出した。 貪るように読まずにはいられなかった。 1のときも、天吾はふかえりのことを、時折「性的な存在」として見ていた。 どうしても、彼女の美しさと大人びた雰囲気が、そうさせてしまったのだ。 普通の男…

『人間失格』

映画と並行して、本も読んでいた。 かなり昔に読んだ記憶がありますが、改めて読み返すと、違った感想を抱くもの。 受け取り方が進化している、とでもいうのだろうか。 太宰作品の独特の文体が、10代前半の頃は難解に思え、途中で読むのをやめたくなったよう…

『1Q84 Book 1(4月ー6月)』

青豆と天吾という2人の男女の過ごす世界が、1章ごとに交代で展開されていくストーリー。 始めのうちは、2人の関係がどのようにリンクしているのか見えてこないのだけれど、読み進めていくうちにぴったりとハマつものが見えてくる。 そして、言葉でも表現され…

『ハニービターハニー』

「高校生歌人」として、2001年に話題となった加藤千恵さんの恋愛短編集。 半ばジャケ買いしたようなもので、1日でさくっと読んだ。 特に好きなのは「甘く響く」という短編。 咲子がミネに、電話の途中で「好きです」と口走るシーンがある。 そこで「なんか、…