『毒蟲VS.溝鼠』

別れさせ屋VS復讐代行屋の、因縁の対決ストーリー。
前者が毒蟲、後者が溝鼠と呼ばれて恐れられているのは、彼らのやることなすことが血も涙もない、とにかく人間とは思えないほど残酷なことを行うからである。
生きながらにして、ターゲットへ地獄を味わわせる。
それは2人の共通点。
描写がこれまでにないほど暴力的で、残虐で、吐き気を催すほど激しい。


毒蟲には、婚約者を溝鼠に寝取られた過去があった。
溝鼠は仕事の一環として、毒蟲の女をセックスの虜にし、毒蟲と別れさせることに成功したのだった。
自分の大事な人を奪った人物を突き止めた毒蟲は、溝鼠に息も絶え絶えの状態にされ、復讐に生きる人間へと変貌してしまったのだった。
名前の通り、毒を持つ恐ろしい虫たちを操り、汚い場所で腐敗した生活を送り、気に入らない者をどんどん傷付けて行く…鬼のような男へと。


溝鼠は、子どもの頃に歪んだ感覚を持つ父親から、暴力を受け続け、虐げられ続けてきた暗黒の時代が身体に染み付いていた。
くだらないことへひどく執着心があり、仕返しを必ずするという父の血を受け注ぎ、彼もまた憎んでいた父と同じ性格をしっかりと形作るようになっていた。
彼には美し過ぎる姉がおり、近親相姦思考のあった彼は姉を愛していた。
愛するあまり常軌を逸した行動をすることもあった。
1つの事件をきっかけとして、姉を自分の手で殺したかのように見えた過去、そしてマニラへの逃亡、整形、戸籍売買…と彼はハードに生き続ける、溝鼠という呼び名にぴったりの人生を送っていた。


展開に目が離せない。
普通の生活をしているとあり得ない描写がたくさん出て来るので、動揺するしかない。
これを書ける人はすくないと思う。