『贖罪』

贖罪

贖罪

価格:1,470円(税込、送料別)

『告白』で本屋大賞受賞後の本作もまた強烈だった。
とある静かな田舎町で、少女が変質者に性的暴行を加えられて殺された。
その少女は都会から来た、洗練された女の子だった。
元々田舎町に住んでいた4人の女の子と共に遊んでいたときの、束の間の出来事。


女の子の母親は4人に向かって「あなたたちは人殺しだ。犯人を見つけないと復讐する」という酷過ぎる言葉を浴びせかける。
人殺し扱いされることがどれほど心労を呼び起こすかというのは、想像に難くない。
ましてや、幼い少女たちがそれを受け止めさせられたのだから。


それから15年の歳月が流れていった。
4人の少女たちは一様に大人になっていたが――。
抱えていなくてはならない重荷、衝撃の強さ、薄れない記憶…そんなものが混ざり合って彼女たちの心身は“化学変化”を起こしてしまったのだと感じ取れる。


本書も湊かなえ氏独特の「手紙的文体」で綴られている。
4人+1人の方向から見るセカイ、各々にしか見えていなかったオリジナルな視点をすべて読んでいくのが刺激的過ぎて、止まらない。