『インモラル』

杉本彩サマ初の恋愛小説というより、官能小説。
彩サマのこと、結構好きなので、手に取ってみた。
文章が巧い。
たやすく情景を想像させてくれる。
「これ、どういうこと?」と頭を傾げるような描写より、すらすらとイメージさせてくれる描き方の方が、ずっと読みたくなるように思う。
詳しく書くことの方が、難しいのだ。
自分で「これはこうだっけ?」と身体の角度を変えたり、自分の経験を引用するならそのときのログを引っ張り出したり、その体勢を取る必要があるから、一苦労する(笑)。


本作の主人公・美咲は、旦那と離婚してからというもの、色んなイイ男と付き合い、寝る。
とにかく、快楽を貪る。
これまで浮気をしなかったことが、反動になったかのように。
30代後半のイイ女は、モテる。
若い女の子が1番キレイ」というのは、もはや完全には正しくない。
“均整の取れた美しさ”を持ち始めるのは、経験を積み重ねて、見る目を養った30代女性からであるように思う。
そんな30代になれるよう、今から自分を磨いて「チャンス」を掴み取る準備をしたい。


女はいつまでも愛されたい。
相手から求められると「愛されている感」を得られる。
単に、性欲の捌け口としてしか見られていないということもあるのだけれど。
それでも女として必要とされることで、男の目に映る自分に価値があることを実感できる。
本当の愛とそうでない愛を見分けることはできているのに、真価を誤って意識するあまり、身を委ねてしまう。
そういうことを思い出した。


この小説は、彩サマの自叙伝に近いものがありそう。
だとしたら、とても劇的で、スパイシーで、私は結構好きだな。