『ウェブはバカと暇人のもの』

「ググれカス」という言葉は、社会人になって知った。
ネット上には、そういう人がたくさんいるという。
私もググれば済むようなことを、当初質問しまくっていた。


さて、本書のタイトルは衝撃的である。
ネットを「これまでにない発明だ」「ネットの可能性は無限大だ」と崇める風土が強い中、逆方向に走ろうとしている感がある。
しかし、そういうことでもない。
著者が主張したいのは、ネットに期待し過ぎるなという話である。
ネットではリアル世界で売れないものが売れる、ネットではどんなプロモーションもうまくいく、ブロガーを使えば販促したい商品が広まる、と単純に考えてはいけないということ。


そもそも、ネットでウケるネタは決まっているというのが相場だ。
ニュースサイトで芸能ネタを始めとして、テレビで取り上げられているものがクリックされやすいというのも、その1例である。
テレビは一昔前と比べて消滅したわけではない、という意見にハッとした。
これまでメディアの言葉に踊らされ「テレビの力は弱くなり、そのうちネットに乗っ取られるのだろうな」と思い込んできていた。
しかし、実際はテレビの影響力は多分にあり、ネットの世界にもそれは十分及ぼされているのである。


「バカ」と「暇人」―これらについては文字通りの話。
自分がいかに「ネット第1主義」のようになっていたか気付かされる本。
数々の例が面白くて刺さる。