『東京タワー』

江國香織さんの『東京タワー』。
かなり年上の女性と「本当の」恋愛をしている透。
同い年の彼女がいながら、年上の「子どものいない」女性をセフレとしている耕二。
透は耕二の恋愛への向き合い方が、理解できずにいる。
真の恋愛をしてない、と。


耕二のセフレである喜美子は、すぐに怒り出す。
そして、耕二にはその理由が分からない。
女と男の考え方は違うようにできているのもあるし、単に喜美子がおそろしく幼稚な女だからというのもあるだろう。
人のモノだと分かっているなら、「2番目」の自分はでしゃばってはいけないのだ。
喜美子は自身を2番目だと知りつつも、我儘を言ったり、癇癪を起したりする。


それってみっともない。
2番目を体験したことのない私は、素直にそう思う。
それに、喜美子にだって夫がいるではないか。
透と喜美子は、お互いを2番目にしていることを意識していないようだ。


相変わらず心地よくさらさらと染み込んでいく、江國さんの紡ぎ出す言葉。
日常で使ってみたら、美しいと思う。