『陰日向に咲く』

短編集。

「ピンボケな私」は、ノリで「カメラマンを目指してるの」と、公言してしまった女子の話。
ぱっと思い浮かんだのが、カメラマンだったというだけ。

皆がそれなりに、具体的な夢や目標を持っている。
そして、それをキラキラさせた目をして語る。
そのとき、「そこまで考えてたの、あなた?」と、上から目線な感情を抱いてしまう。
その後、自分だけが置き去りにされたような感覚に陥る。
私も経験済。

主人公の女子は「よくある失敗」をしてしまう。
酒が入った夜セックスし、翌朝男がそっけない。
ありがちなパターンだけれども、20歳なのでまだその意味を知らない。
そういうふうに傷付きながら大人になっていくのは、ある程度仕方ない、というか必要なことだ。

女子は強い。
男を殴るために、大学へ乗り込む。
この気持ち、よーく分かる。
私も同じようなことを計画したことがある(怖っ)。

最後に気付くのだ。
本当に自分のことを見守ってくれている、大事な存在のことを。
なかなか見えてこない、身近にいる人をフォーカスしよう。
いい話。

他4編。
次の作品も書いてほしい。
最後に必ずオチがあるところが、劇団ひとり氏の頭のよさを感じさせる。