『黒い太陽 下』

黒い太陽(下)

黒い太陽(下)

価格:630円(税込、送料別)

風俗王・藤堂を潰すため、立花は彼の店からキャストを引き抜くことを画策する。
そして、裏から手を回し、何とか成功したかのように見えたが…


現実は甘くなかった。
伊達に「王」と呼ばれているだけではない藤堂。
彼の方が、立花の何倍もの修羅場をくぐり抜けてきていることは、紛れもない事実なのだった。


引き抜き合戦の終章で、立花は藤堂に勝ったかのように思えた。
愛する人を犠牲にしてまで、彼は藤堂を潰すことだけにこだわった。
プライド、意地…そんな簡単な言葉では語ることのできない理由が、彼にはあったから。


本書にもあるように「変わったね」と人から言われることは、生きていたら往々にしてある。
だけれど、そんなことは自分が一番分かっている。
立花も、自分の中で意識はしていた。
私も、いくら他人から言われようと、自分の腹ではしっかり納得している。


変わり果ててしまうのは、悪いことなのか。
ある世界に染まってしまうのは、駄目なことなのか。
「昔の純粋なあなた」が良かった、というのは、現実の自分には悲しく受け止めるべき言葉でしかない。


ライフステージによって、変化していく自分。
暗い色か、淡い色か、その中間か。
どんな色でも、自分は自分。
自分しか、真に信じられる人はいないんだ、という考えを改めて持たされる小説でもあった。
お水のリアル・実態も分かる、良書。
(注:お客さんが読んだら傷付く恐れあり!)