『新宿ミッドナイトベイビー』

新宿ミッドナイトベイビー

新宿ミッドナイトベイビー

価格:1,260円(税込、送料別)

本書では「新宿(主に歌舞伎町、二丁目)の一般的な住人」たちが、これでもかというくらい登場する。
物語は、売れっ子ホストと施設出身のキャバ嬢が平穏に暮らしている中、彼女が赤ちゃんを拾ってくるところから始まる。
親に捨てられたキャバ嬢は、最初の頃はきちんと赤ちゃんを養育しようと試みるが、無意識のうちに虐待めいたことを始めてしまう。
それと同時期に、別のところでもまるっきり同じような事態が起き始めるのだった…
誰が一番後ろで手綱を引いているのか、途中まで見えてこない。


世界は狭い。
驚くほど、思いがけない線でつながっているから。
別れた親と子。
彼らの希薄なつながりは、第三者的な視点からは痛みを伴うものに見える。


終わりが非常にあっさりしている。
これでいいのか、と拍子抜けするくらいに。


それにしても世の中、お金さえあれば大抵のことはできるし手に入るのだと、金で物事を着々と思い通りに進めるお嬢様の姿を読んで、改めて感じさせられた。
いくつか、どうしても得られないものを除けば。