『人間失格』


↑写真集

前売り券まで買って気合を入れていた『人間失格』を観てきた。
大庭葉蔵を演じる生田斗真の整然とした秀麗な顔立ちが、狂気を巧みに表現していた。
葉蔵は女に暴力を奮うわけではないのだけれど、「狂っている具合」がドラマ『ラストフレンド』で暴力を奮う錦戸亮の表情を連想させる。


どうして女は、葉蔵のようなだらしのない男に惹かれるのか。
お金がなかったり、働かなかったり、ヒモになったり…という、現代で言うところの「だめんず」でしかない。
しかし「女は」と一概に言ってはならないのだろうけれど、登場し彼と何かしら関わった女は、いとも簡単に、麻薬にのめり込むかのように、彼へとハマり込んでいくのだ。
ただ、目が合っただけで、というときもあった。
「キスしてあげるから」と、薬局のおばさんに迫り、押し倒すシーン。
小さな頃から「美しい男の子」としてもてはやされ、そのまま自信を持って大人になった葉蔵は、自分の存在そのものが女を魅了することを知っている。
彼はナルシストであり、加えて必然性を持ったナルシストでもある。


彼は女に「この人には、私が何かしてあげないと」と、母性本能溢れる考えを抱かせるのが巧い。
美しい造作をしているというのと、儚げで脆い雰囲気が、ハッとさせられるのか。
私にはあまり理解できないけれど。
ただ、「美しい」ということで、人はかなり得して生きることへは同意する。
できる限り、様々な意味で美しくなりましょう。
努力、努力。