『ゴールデンスランバー』


↑本

予告を見て数ヶ月前から気になっていた『ゴールデンスランバー』を観てきた。


首相暗殺の犯人に仕立て上げられた男。
オズワルドにされるぞ。
ビートルズ
惨めな姿晒してでも、逃げろ。
とにかく、生きろ。


主人公・青柳はワケのわからない事態に、いきなり巻き込まれた。
大学時代の仲間と会う約束をし、車に乗り込んだ数時間後に、凱旋パレードをしていた首相が何者かに暗殺される…。
その犯人として、青柳は追われ続けることになったのだった。


警察はどこまでも追ってくる。
青柳の友人を痛めつけてでも、彼を捕まえようとする。
青柳はそのことで、巨大な国家権力やそれに値するものと対峙していると感じ始めた。

人柄、性格的に「彼は犯人ではない」ということを理解している人はたくさんいた。
しかし、メディアというものは恐ろしいもので、大々的に報道されたことは人々の脳裏に染み込むもの。
「俺は犯人じゃない。俺はやってない」
いくらこのように言おうとも、友人がかなりの助けをくれて逃げ延びたけれど、止まらないところまで進んでしまった。
もっと遠くへ逃げるしか、自分を自分ではなくしてしまうしか、方法はなくなる――。


とてつもなく暗い作品かと思いきや、笑いの要素が散りばめられているし、息を抜ける部分がきちんとあってホッとした。
「1番最初と最後」がつながっていて、「なるほど! そういうことだったのか!」と合点させられてしまう点が、伊坂氏の神的な才能だと思う。
また、展開がまったく予想外なのだ。
ますますファンになってしまった。