『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』


↑本


↑漫画

高校中退後、ひきこもりを続けていた真男(マサオなのに「マ男」と間違えられてそう呼ばれるようになる)は、一念発起して、社会人としての道を歩み始める。
ニートという空白の期間を冷たく見られ、マ男を受け入れてくれた企業はたった1社だった。
それが、超が付くほどのブラック企業「黒井システム株式会社」だった…。


初日からマ男は深夜まで働くこととなる。
「こぉのバァーカッ!!」が口グセなリーダー、コロコロと都合のいいように態度を変えるオタクの井出、人間的にできており優秀な藤田、奴隷のように扱われている上原…などかなり濃い人々が同僚。
「定時なんてものはなぁ、都市伝説なんだよ!! こぉのバァーカッ!!」とリーダーが怒鳴り散らすシーンが、現代の「働き過ぎピープル」たちの存在を想起させる。
皆さんの会社にも、働き蜂のような人がいませんか。


入社前に勉強し、プログラマの資格を取ったマ男はえらい。
新人にも関わらず、2週間で新プロジェクトのリーダーに抜擢され、トラブルが数多く降ってきても懸命にやり抜いた。
深夜残業、徹夜、泊まり込みはあたりまえ―そんな会社で半年働き続ける。
ふらふらになりながらも、何とか納期に間に合わせる仕事をするのだった。


あるときマ男は、藤田が会社を辞めることを知る。
藤田はいつも、マ男を助けてくれていて、マ男にとって心の支えとなっていたのだった。
会社をのっとるために転職してきた木村が、勝手に納期を早めたことで、会社の全員が揉めに揉めた。
マ男は藤田がいなくなってしまうことと、その醜い状況があいまって、溜めていた怒りを爆発させる。
「もう限界だ… こんな会社、辞めてやる!」
そう言い残して、飛び出していく。


物語は、マ男が「もう、限界だ…」と言って、都心を歩いている中で倒れるシーンから始まる。
その日の帰宅後、マ男はスレッドを立てて、半年前に自分がブラック会社に就職したことから綴っていく。


タイトルの「限界」とは意外にも、藤田が消えてしまうということについてだった。
藤田のような素晴らしい人柄の人物と巡り合えるのは、働く上でとても幸福なことだ。


笑えて泣ける―もらい泣きをしてしまったのと、ホントに感動して泣いた―作品。
働くということは、甘くない。
「ツラいなぁ。会社行きたくないな」と思うことがたまにあるが、マ男の状況と比べると私などゆる過ぎる。


働くということは、甘くない。
そのことを非常に意識させられる映画だった。