『僕の初恋を君に捧ぐ』


↑本


↑漫画

逞と繭は幼い頃に「大きくなったら、結婚しよう」と約束を交わしていた。
時が経ち、2人は高校生になった。
昔から、逞は20歳まで生きられないという病気を抱えていた。
果たせない約束をしてしまったことを申し訳ないと思い、大好きな繭と別れようと試みる。
しかし、深い絆が2人を離れ離れにはさせなかった。
繭は、逞を支え続けるのだった。


思いがけない事態は、突然訪れる。
2人の前にも、それは例外なくやってきた。
同級生の昂が交通事故に遭い、脳死判定を受けた。
昴は臓器提供意思表示カードを持っていて、家族の同意もあり、昴の心臓は逞に移植されることになった。
提供者を知らない逞は喜んでいた。
しかし、不幸な偶然で、逞は自分が昂の心臓を提供されることを知るのだった…。
友人の心臓を受け取ってまで生き続ける必要があるのか、と手術を拒否し始める。
そのとき既に逞は、死の接近を感じ、繭と1日遊びのフルコースを堪能する。
もう、生きることに未練がないというくらいに。


その夜、逞の容体が急変する。
繭は昂の家族に土下座をし、お願いをし続けた。
「昂くんの心臓を下さい。お願いします。お願いします…」と頭を地面から離さなかった。
脳死だと言われた昂が、涙を流すようになっていたため、そのとき既に、彼の家族は臓器提供の意志を翻していたのだった。
逞はこの世から、消えた。
繭は生まれ変わってもう1度逞と出会ったとしても、彼に恋をすることだろう、と思うのだった。


逞が死んだ後、繭が病院の屋上に行き、何が起こったのか分からないような表情をするシーンがある。
しばらく、涙を流さなかった。
信じ難い出来事が起こったとき、人は悲しみをすぐに表現できないことがある。
大好きな人が亡くなること―それがどれほどの喪失感を人に与えるものなのか、私のまだ知り得ないことだ。
ただ、確実に、怖くて、悲しいことなのだ。


僕たちの恋愛には、タイムリミットがある。
冒頭に出てくるこの言葉。
恋愛を「人生」と置き換えることもできるだろう。
私たちは、毎日を大事に生きなくてはもったいない。