『グーグル革命の衝撃』

グーグルという会社はどのようにして始まったか、内部はどうなっているのかが詳細に記述されている。
NHK取材班が何年にも渡り、取材した記録である。
社員に「最高の結果」を出してもらうため、福利厚生をかなり快適なものとしているようだ。
素晴らし過ぎる環境。
その代償として、ハイレベルな仕事を要求される。


本書が言わんとすることは、上記の内容ではない。
グーグルに情報を預け過ぎていいのか、ということ。
まとめれば、そういうことになる。
私たちがグーグルのサービスを使うと(検索、Gmail、グーグルアースetc.)、それらの動きはすべて、グーグル側にログとして残される。
それらは限りなく「パーソナライズ」された情報として、私たちに再び提供されることとなる。
たとえばサービス内の到るところに登場する広告、検索サジェスト機能…
グーグルは私たちの行動を、がっちりと握っている。
私たちの脳を超えているのである。


グーグルを使うことで、便利な生活を送ることができる。
それと引き換えに、私たちは個人情報を差し出している。
そのことを強く意識したことがなかった。
問題意識が欠如し過ぎているのだろうか。
私だけではないと思う。
「快適さ」のみにしか気付いていなかった人々は。
それでも私は、グーグルという「優れ過ぎたツール」を使い続けると思う。
ないと現代的な生活ができなくなるくらい、グーグルは生活に浸透しているから。


何かを検索すれば、グーグルは0.5秒以内で最適な結果を出してくれる。
ただ、それで世界を知った気になってはいけない。
五感でないと感じ取れない世界がある。
グーグルを使って得られるもの、得られないものとがある―最近散歩を楽しんでいるときにも感じたが、本書を読んでも同様のことを思った。