『おとなり』

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花屋勤務の七緒と人気カメラマンの聡。
2人は風情あるアパートのお隣同士。
しかし、顔を合わせたことはなかった。


ただ、いつもお互いの“音”を聞いて、ほっこりとした気持ちになっていた。
七緒の口ずさむ「風をあつめて」という歌、フランス語の発音、聡の珈琲豆を挽く音…それらすべてが、愛おしい音となっていた。
辛いとき、隣に抱き締めてくれる誰かがいなくても、温かい音が2人をつつんでいた。


フランス留学を決めていた七緒は、部屋を引き払い、実家へ戻る。
そして、偶然同窓会のような集まりへ行ったところに、聡がいた。
そのときはまだ、聡のことを同級生の1人としか認識していなかったのだが…


最後に「風をあつめて」を、出て行ったはずの部屋で寝転んで歌う七緒。
その部屋のドアを開けた聡。
そこから、新しいストーリーが始まる。


終わりこそ、始まりだった。


隣に誰が住んでいるか、知らない。
そういう「いかにも現代風な暮らし方」を描いてはいるが、光をやさしく取り入れた撮り方や色調が、穏やかな雰囲気を醸し出すステキな映画。