『天使の恋』


小説↑


佐々木希ちゃんの『天使の恋フォトブック』↑


理央は17歳には見えない、美し過ぎる女子高生。
14歳の頃受けたレイプのショックから、援交、恐喝などに手を染めながらの、荒んだ日々を過ごしていた。
“悪いこと”をするようになったのは、危害を加えられるよりも与える側になった方が楽だと思うようになったからだった。


援交相手のパパから高級マンションを借りてもらい、毎日のように身体を売って稼いだお金で、ゴージャスな生活をする。
それが理央の生き方だった―「光輝」に出会うまでの。


出会いは偶然だった。
同じ「小澤」という名字であったことから起こったミス。
理央は光輝の写真を受け取り、光輝は理央の写真を受け取っていた。
光輝の写真は、自分で撮ったと思われる彼自身の写真ばかり。
理央は光輝の写真を見た瞬間に、「全身に電流が走った」のだった。
そこから、本当の恋が始まっていく。


「写真をお互いに返しましょう」ということで、2人はある雨の日に初めて出会う。
その日、光輝が急に倒れ、理央は病院へ付き添った。
光輝は悪性の脳腫瘍を抱えていて、手術をしない限り、死が刻々と迫っている状況だった…


光輝の寿命を知らない理央は、素直に愛を表現する。
どんなときもまっすぐ、自分にも相手にも、嘘を吐くことなく。
そして、光輝と出会ってから改心したのだった。
光輝はそんな理央の存在を太陽みたいだと感じながらも、次第に遠ざけようとする。
自分の死に、理央を巻き込みたくなかったから。


手術をして―理央が泣きながら懇願した。
「理央のことを忘れるかも知れない。これまでの記憶がなくなるかも知れない。重大な障害が残って、迷惑をかけることになるかも知れない」と、光輝は言う。
「それでもいい。私が全部覚えてるから」
理央のその言葉で、光輝は手術を受けることを決心した――。


SATCの4人が歩いているようなとき、雨の日に光輝の傘へ理央が入れてもらうとき、図書館で不意にキスされたとき、2人の歴史デートで草原を歩いているとき…など惹き付けられ、頭に映像として残るシーンが多い。
主役2人が美しいから、とても絵になっている。


愛は表現されなくては、意味がない。
何らかの形で、能動的に伝えようとしなければ伝わらないモノ。
自他共々に対して、正直に素直にまっすぐ。
「生き方」について考えさせられた気がする。