「サイドカーに犬」

竹内結子演じる「ヨーコさん」のような人に、昔会ったことがある。

漢字でどう書くのかは忘れてしまったのだけれども、彼女も「ヨウコ」という名前だった。
自由奔放に生きているように見えた、あのときのヨウコさん。

煙草を吸うときの指が、ほっそりとしていてしなやかで、大人びていた。
煙を吐き出すという行為が、ヨウコさんには似合っていた。
当時彼女は大学生で、私は高校生だった。

あるとき、トルコ料理を食べるというイベントに、誘ってくれた。
ヨウコさんは外国の人々と自然体に接していて、彼女の伸びやかな笑顔と笑い声を、私は心地よいものとして捉えていた。

一緒にプリクラを撮ったときに、「ヨーコ」と書いていたのを思い出す。
この作品を観ていてなんだか、過去の記憶の中に分け入ったかのような気がした。

ひどく、懐かしい。